北上校のブログ
2023/06/23
こんにちは!教室長です。
今日は「地頭力は鍛えられるのか」というテーマについて話したいと思います。
まず、地頭力ってなんだろう?という定義のところから。
個人的には何か新しい知識を得た時の習得スピードや定着スピードがはやいことだと思っています。
これらの能力とでもいうべきものは「地頭がいい」とか「才能がある」なんて片付けられてしまいがちです。
このような、生まれ持ったものという認識が強い地頭力を鍛えることはできるのでしょうか。
結論から言うと、鍛えられると思います。
では、どうやって鍛えることができるのか、
それはズバリ、もし~~~だったら・・・を想像することです。
これだけでは分かりにくいので具体的に数学で見てみましょう。
①小・中学生向け
ここに y=ax という関係式があります。
比例なんて呼ばれていますね。
具体的にグラフを書くときには a の部分が具体的な数になって、
y=2x なんて形であらわされますよね。
ちなみにこの式を図示するときには x の値を一つずつ代入して y の値を出します。
y はそれぞれ-4・-2・0・2・4と変化していきます。
これを座標にとると次のようなグラフになります。
こんな風に、x(ヨコ)が1のときにy(高さ)が2、
それをずっと続けて点をとると、一本の直線ができます。
ここで地頭力ポイントです。
今、y=2xのときはこの形ですが、
もしy=3xだったらどうなるだろう?
もしy=100xだったらどうなるだろう?
こんなことが考えられるかどうかが大事です。
グラフに図示してみましょう。
こうなると、aが増えると左回転し、aが減ると右回転することが分かると思います。
大切なのはもしaが増えたら・減ったら図ではどうなるか、というイメージを持つことです。
②高校生向け
では、高校生向けの例を挙げてみましょう。
具体例は、苦手な生徒の多いベクトルの存在範囲について考えてみましょう。
(※ブログではベクトルの表示が難しいのでaベクトルはa→と表します。)
平面ベクトルでは
OP→=sOA→+tOB→ (実数s、t) という公式を習いますね。
この公式を覚えただけでは、いったい何に使ったらいいのか、いつ使ったらいいのかよく分かりませんよね。
ここで、実際に図示して考えてみましょう。
では実際にOA→とOB→を書いて、好きなところにPを置いてみましょう。
このとき、OAとOBの成分だけでPにたどり着くように線を引いてみましょう。
こうなってくると、s、t の値が具体的に想像できそうですね。
正確な作図ではありませんが、
だいたいsは2.3くらい。(OA→の2.3倍)
だいたいtは2.6くらい。(OB→の2.6倍)
程度かなー?なんてわかります。
負の数も活用すれば、点Pはどこにあってもこの形で表現できそうですね。
(平面ベクトルの問題では全てのベクトルをa→とb→の二種類で表しますが、この性質のためです)
ここで条件を追加してみましょう。
s+t=1です。 教科書を見ると、s+t=1だと
点Pは直線AB上にあることになるようです。(ナンデ!?)
これも具体的に想像してみましょう。
例えば
s=1 t=0 、 s=0.9 t=0.1
s=0.8 t=0.2 、 s=0.5 t=0.5
s=0.2 t=0.8 、 s=0.1 t=0.9
s=0 t=1
これらの実数を図示してみましょう。
こんな風に相似な三角形がたくさんでてきます。
sとtは対称式なので、三角形のそれぞれの線分の比は元の図形と等しくなります。
(sOA→の終点をQ・tOB→の終点をRとすると、s=0.9のときQAの比は0.1と考えられます。このときQRも0.1なので、元の三角形と相似になります。)
また、このように想像すると、「あれ?もしかしてs+t=1になるのって、一方がマイナスになる可能性もある!?」
なんて思いつきます。具体的に考えるとすぐ分かりますが、
sとtがどちらも正の数のときには線分ABの間にあり、
sとtの一方が負の数のときには線分ABの外側です。
特にsが負の時にはB側の外側で、tが負のときにはA側の外側です。
こうなってくると s+t≦1 の範囲はどこだろう?
なんていうのも、不等号の向きで暗記なんてことはせずとも
分かるようになってきます。
③まとめ
正直、大人になったら二次方程式なんて一部の職業の人しか使いません。
では、なぜ数学が必須科目として存在し続けているのか。
それは、数学が何か具体的なものを、こういうルールでやれば他の仲間に同じことが言えることを発見したよ!
という、抽象化されたものの学びであり、それを自分なりに具体化して学習することが必要だからです。
なにかを具体化する力、大人になるとなにかと必要な力です。