上乃木校のブログ

古典を学ぶ理由

2022/11/15

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
おごれる人も久しからず、
ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者もついにはほろびぬ、
ひとへに風の前の塵のおなじ。
中学2年生の期末テストの試験範囲で
おなじみの「平家物語」の冒頭です。
「何年の時を超えても変わらない、
人智を超えた宇宙の原理の中を生きる人間は
どんな栄華でも終わりを迎える切ない運命にいる」と表現した極上の古文作品です。
私は古文が大好きです。
しかし学生時代には「なぜ古文を学ぶ必要があるのか」と
毎日のように考えていました。
古文作品は現代文に比べて、文章が短く想像力を働かせて
意訳しなければならない時が多々あります。
千年も前の作品なので、想像力が及ばないことも少なくはありません。
学生時代に学ぶ古典作品の多くは、その時代を象徴する作品です。
SNSや娯楽に囲まれた今では私たちが忘れてしまった景色を
実に味わい深く表現しています。
古典を知るからこそ、普段見慣れた景色が情緒的に見えることもあります。
四季折々の作品と出会うことで、私たちの毎日は彩りを取り戻すかもしれません。
いきなり古典を読んで意味を理解することはできませんが、
現代語訳を読みながら、その趣を感じることが出来れば
きっと古典が学びたくなるはずです。
私は昨日、地域を代表する自然のスダジイを見てきました。
そして平家物語の冒頭を思い出し、ブログ投稿しております。
一人でも多くの生徒さんと、古典を好きになれる日を向かえることが出来れば嬉しいです。

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